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コックピット日記
No.20 ペットも大切なお客様

 近頃、ペットと一緒に旅行される方が増えているようです。空港のチェックインカウンターに行くと、荷物と一緒に愛犬や愛猫を預けている様子をよく見かけるようになりました。

実は私自身も、黒毛のラブラドールレトリバーを飼っていますので、ペットと一緒に旅行する大変さや、飛行機にペットを預ける際の飼い主の心配がよく分かります。そこで今回は、飛行機に預けられた皆さんのペットが、どのように目的地まで運ばれるか、お話ししてみたいと思います。

まず、ペットが乗る場所はというと、皆さんの座席の下にある貨物室になります。ここは客席と同じ気圧に保たれていて、運航中に揺れても大丈夫なようにペットの入ったクレート(檻)は床などに固定されています。

空港内の荷物預かり所は空調がなく、夏は暑く、冬は寒くなります。そこで、皆さんのペットは、貨物室に入るまでの間、空調の整った場所でお預かりします。

さて、飛行機の出発前、運航に向けてスタッフと打ち合わせを行う際に、機長の手元に一枚の依頼書が届けられます。この書類は、貨物室内の温度調整についてのもので、「貨物室に犬が搭乗しているので、温度を調整してください」といったような内容が記されています。これを見て、私たちはペットが乗っていることを知ります。

貨物室内の温度は機種によって違いがありますが、私の担当するB767の場合、コックピット内のスイッチを入れることで、空調を入れない状態(約7℃)と、温度調整と空気循環が行われる状態(約18℃)の2種類に設定できます。猫や小鳥などのペットがいると、高い方の温度に調整しますが、犬の場合は寒さに強いということもあり、特に温度調整のリクエストがない限り、低い方の温度にすることが多いようです。

ちなみに、フレイターと呼ばれる貨物専用便の場合は、競走馬をはじめさまざまな動物が運ばれるため、約4℃、10℃、16℃、23℃と、より細かい温度調整ができるようになっています。

JALグループの国内線では現在、各空港で「ペットとおでかけサービス」を実施しています。皆さんがペットと一緒に、快適な空の旅を楽しめるよう、我々、運航乗務員も細心の注意と努力をしていますので、機会がありましたら、ぜひご利用ください。
文=高桑久仁昭(JALグループB777機長)
Text by Kuniaki Takakuwa

日本航空機内誌・JALカード会員誌「Agora」連載 「コックピット日記」2004年11月号より転載

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