皆さんは初めての場所に旅行した時「自分がどこにいるのか」をどうやって知りますか? 近年は自分の居場所を教えてくれる携帯端末も登場していますが、多くの皆さんはガイドブックや地図を使って、自分のいる場所や目的地を探していると思います。その時、「○○通りの××ビルの前」とか「○○St.□□Ave.」といった住所や地名、ランドマークなどで自分のいる場所を確かめていると思います。
飛行機もほぼそれと似たような方法で自分の位置を確かめながら飛行しています。飛行機の場合、「ガイドブックや地図」にあたるのは航空路図です。また、「××ビルの前」といったランドマークにあたるのは地上無線局です。これから出発しようとする機長は飛行する前に、運航管理者と呼ばれる担当者から航路上の天気や注意事項、お客さまの人数、飛行機に積み込む貨物の量などの説明を受けて、どの航空路を飛行するかを決定します。そして、その航路上にある地上無線局を目標にしながら目的地を目指します。この目標にしている無線局の数は飛行距離が長くなればなるほど数が増えるわけですから、パイロットにとっても長い距離を飛行するのは大変なことなのです。
さらに、近年の新鋭機では慣性航法装置という機械が、飛行機の移動方向や移動距離、速度を計算しています。そして、その結果を利用して、フライトマネジメントコンピュータ(FMC)に内蔵されている地図情報と地上無線局情報を照らし合わせ、自動的に無線局の周波数に切り換えるといった自動化が図られています。コンピュータがあるからといってそれだけを頼りにするのではなく、従来の無線局も使用しながら二重に現在位置を確かめているのです。
皆さんがB747-400やB777といったハイテク機で空の旅を楽しんでいるとき、ビデオプログラムの終了時に、機内の大きなスクリーンに飛行機が飛んでいる現在地が映し出されるのを覚えていますか。これは「エアロ・ナビ」といい、位置情報のほかにも高度やスピード、到着時間、外気温なども教えてくれます。この「エアロ・ナビ」もFMCからの情報を使用してスクリーンに映し出しているんですよ。
※JALファーストクラス機内誌・JALCARD会員誌「Agora2000年8月号」より転載