航空管制通信官

太平洋上の飛行機とコンタクト

みなさんは海外旅行をしたことがありますか? 飛行機がハワイやアメリカとかに行くためには広い太平洋を横断して飛行することになります。 その広い洋上を飛行する航空機と無線を使って管制官からの管制指示の伝達や飛行機の運航に必要な情報提供を行って、飛行機の安全運航を支えている人たちがいます。それが、航空管制通信官(こうくうかんせいつうしんかん)です。
このお仕事は日本では唯一成田空港で実施している仕事となります。それでは、航空管制通信官に話を聞いてみましょう。

仕事の内容を教えてください。

日本の上空を飛ぶ飛行機は、レーダーと呼ばれる装置の画面上にどこを飛んでいるか表示されるようになっています。でも、太平洋のような陸地のない広い海の上では、レーダーの電波が届かないのでレーダーの画面上に表示することができません。そこで、航空管制通信官が遠くまで届く無線をつかってパイロットと交信し、洋上を飛行中の飛行機の位置を確認し管制官へ伝達を行っています。また、管制官からの高度などの変更指示やパイロットからの変更要望などを伝達したり、乱気流などの気象情報等を収集し情報を必要とする飛行機に提供しています。このようにして広い洋上での安全飛行を確保しています。

航空管制官は、飛行機が安全な間隔を保って飛行できるように調整をする役割を持っていますが、航空管制通信官はパイロットとの交信や航空管制官との情報の中継を行うことにより、それぞれの仕事の分担をしています。

航空管制通信官になったきっかけはなんですか?

大学受験をする際にいろいろな資料を調べていて航空保安大学校という学校を知りました。もともと航空の世界に興味があったのですが、いろいろな仕事で飛行機の運航に関われる情報官の業務内容に惹かれ航空情報科に進みました。卒業すると航空管制通信官または航空管制運航情報官のいずれかの仕事をすることになるのですが、私は卒業後、航空管制通信官の仕事をすることになりました。

航空管制通信官の仕事をするうえで、こころがけていることはなんですか?

遠くまで届く無線は、混信や雑音がひどく、聞き取りづらい電波を使用しています。パイロットとの交信において誤解や数字の間違いがおきないようできるだけ明瞭な発音を心がけて、お互いの意思疎通をしっかりとることです。

どんな時にやりがいや喜びを感じますか?

パイロットは時にいろいろな要求をしてきます。コースを変更したいとか、目的地を変更するとか、トラブルが発生したので到着空港で救急車等を準備しておいて欲しいとか。そういった要望も確実に関係者へ伝えるのが仕事ですが、トラブルが発生した時にうまく対応ができて運航者から感謝の言葉を頂いたときは大変うれしく思います。また、やりがいも感じます。

逆に一番辛かったことはなんですか?

パイロットとの交信は英語で行います。もともと英語が苦手だった私はこの仕事をすることになって、必死に勉強しました。もっと学生の頃に勉強をしておけばよかった。パイロットとの交信でなかなか意思疎通が図れなかったときなどはやはりつらかったです。

この職につく方法を教えてください。

高校を卒業したら、航空保安大学校の航空情報科に入学し、2年間、航空管制通信業務と航空管制運航情報業務の基礎を学び、卒業後、数年間航空管制運航情報官として経験を積んだ後に航空管制通信官の仕事をすることができます。

最後に小中高生へメッセージをお願いします。

航空の世界は技術の進歩とともに、常に変化しています。航空管制通信官の業務内容も大きく変革を遂げてきました。時代の変化に順応し、新たな業務に対応出来る能力がこれから求められると思います。また、私が苦労した英語は常についてきますので、しっかりと勉強しておくことをおすすめします。